イアン・ブレマー 御立尚資著 ジオエコノミクスの世紀 Gゼロ後の日本が生き残る道

 2013年頃と比べるて、日本の地政学的状況は改善されています。その理由は次の3点です。 

 第1に、安倍首相が歴史と戦争を語る際に、被害者感情を傷つける発言を控えるようになったこと。

 第2に、中国指導部が近年の東シナ海における一連の対立後に日本が対中投資を減らした事態が、中国経済と他国への評判に不必要なダメージを齎したことに気付き、さらに軍の示威行動によって、アジア全般との貿易関係を拡大する自国の能力が弱まるとみていること。

 第3に、モディ首相率いるインドが、資源、水、軍事的地位、領土を巡って中国のライバルになりつつあること。これにより、中国の日本に対する敵対心は次第に弱まっていくでしょう。

 日本の軍備拡張能力には自ずと限界があります。軍事力に頼る道を選べば、最大の危険が伴い、最小の見返りしか得られません。

 

高野誠鮮、木村秋則著 日本農業再生論  「自然栽培」革命で日本は世界一になる!

 

 日本は、農薬の使用量がとりわけ高い。上から中国、日本、韓国、オランダ、イタリア、フランスの順で、単位面積当たりの農薬使用量は、アメリカの約7倍もある。  

 2009年、アメリカ海洋大気庁が、地球温暖化の新たな原因として、農薬や化学肥料、家畜の排せつ物などに含まれる亜酸化窒素ガスを指摘し、これらを使わない栽培を研究開発することが急務であるとホームページに掲載した。

 2014年EU随一の農業国フランスが、遺伝子組み換えトウモロコシの栽培を禁止する法案を可決した。ドイツ、イタリア、ロシアでも遺伝子組み換え作物は禁止となった。翻って日本の厚生労働省は安全ですとPRしている。

 2011年、木村秋則氏が自然栽培のコメ作りを指導した石川県能登地域、新潟県佐渡市の2地域が、国連食糧農業機関によって世界重要農業遺産システムに認定された。

 肥料、農薬、除草剤を使わない自然栽培は、「自然栽培AKメソッド」として紹介され、国連機関に認められたのは、日本初の快挙だ。

 高野誠鮮氏は、10年ごとにUFOで地域づくり、過疎集落からの脱却、自然栽培の普及に取り組んできたが、次の10年に目指すものは、自然栽培の普及を加速させて国策にもっていくこと。

 

中村八郎 吉田太郎著 「防災大国」キューバに世界が注目するわけ

 大型ハリケーンの襲来を年に3度も受けながら、全国民の25%にあたる300万人が安全に非難し、わずか7人の死しかださなかった国。

 二酸化炭素の排出量を減らすため、省エネ家電製品を全国民に配布し、小学校

から大学まで省エネ教育を実施し、1990年の3分の1にまでエネルギー消費量を減らす。2006年、フィデル・カストロはさらに野心的な「エネルギー革命」を打ち出す。ベネズエラには省エネ電球を配布し、ボリビアホンジュラスにはソーラーパネルを設置し、チリではバイオガスプラント、エクアドルでは小規模水力発電所の建設を支援する。エネルギー「革命」が、いま途上国を中心に海外に輸出されつつある。

 クーバー・ソラールの代表、ルイス・べリスの言葉

 原子力には未来はありません。多くの人々が原子力をクリーンなエネルギーと口にしていますが、残念ながら歴史的に見ればそうではありません。ウラン鉱山の採掘現場で働く人々の健康を考えていませんし、使用済み核燃料の捨て場もない。おまけに、原発は大量の熱を発生します。ここまま、原発推進路線を歩んでいけば、将来どのような災いが起こるかわかりません。

孫崎享著 これから世界はどうなるか 米国衰退と日本

 テロには歴史的な遠因とともに、基本的には、テロを誘発する直接の原因もあります。この原因を政治的手段によって解決することは可能です。政治的解決を図らない、政治的妥協を図らない、その代償がテロなのです。

 もし米国がオサマ・ビン・ラディンの「撤退要求」を認めていれば、米国同時多発テロ事件は起こっていなかった可能性が高い。現に、2003年のイラク戦争開始前に、米国はサウジアラビアから撤退しています。

 アイゼンハワー大統領は軍産複合体によって、米国が不要な戦争に突入する危険性を警告しました。けれど米国は、ベトナム戦争アフガニスタン戦争、イラク戦争と、自国の安全と必ずしも直結しない戦争に突入していきました。

 現在、軍事費の大半を占める補給部門を民間に移譲した米国では、民間契約会社は戦争があることによって利益を得る集団になっています。

 カントは、「いかなる国々も他の国の体制や統治に暴力を持って干渉してはならない」と述べ、人生の終わりに、「国際法を一歩ずつ限りない努力で発展させることを我々の義務とするよう」言い残した。

 19世紀の法律家、ヘンリー・メインは、「戦争の歴史は人類の歴史と同じくらい古いが、平和は近代の発明品」と言っている。

 各国国内事情をみると、通常、軍事力を主張するグループと、平和を主張するグループと併存しています。平和を求めるグループは相手国の平和を求めるグループと連携を図る努力が喫緊の課題です。

 

 

ブルース・シュナイアー著 超監視社会 私たちのデータはどこまでみられているのか?

 国家による検閲が委縮効果を生む

 人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウオッチによれば、情報機関・国家安全保障機関・法執行機関を取材しているジャーナリスたちは、政府の監視活動によりかなり手足を縛られている。その結果、国民にとって重大な関心事が報じられなくなり、国民に知らされる情報が減っている。

 テロリストと犯罪者からの安全

 大量監視とデータマイニングは、筋金入りの犯罪者やテロリストを見つける手段には適さない。

 セキュリティより監視を優先させているNSAは、私たちすべてのセキュリティを弱体化させている。

 セキュリティ確保を優先させたシステムを築けば、世界を行き交う情報を盗聴や、まっと大きな被害を生む窃盗、破壊などから守ることができる。

佐藤優著 佐藤優の地政学リスク講座2016 日本でテロが起きる日

米ロをめぐる安倍外交の迷走

 

ソ連崩壊後、まともな市民社会が成立せず、まともな言論機関も成立せず、自らの権力を使って不正蓄財していくという、破綻国家みたいな体制が改まっていないウクライナへ日本政府は、2015年6月お土産として2200億円、使い道に留保をつけず(アンタイド)、ウクライナ支援として支出する約束をした。このお金は、民衆に行きわたらずどこかに消えて溶けてしまう。

 日本の良さは、教育は基本的に機会均等で、自分の能力を発揮させることができるという点だったが、この基本構造が急速に崩れようとしていて、2020年の東京オリンピックの頃までに下手をすればかなり崩れてしまうかもしれない。

藤井厳喜 著  「国家」の逆襲  グローバリズム終焉に向かう世界

 グローバリズムの問題点が露わになったのが、2008年のリーマン・ショックである。タックスヘイブンを拠点に無国籍マネーが猛威を振るった結果、100年に一度という金融危機を迎えてしまったのだ。この未曾有の危機を教訓に、アメリカは2010年にドッド・フランク法を制定して金融の再規制にに舵を切ったのに続いて、FATCA(外国口座税務規制順守法)を制定した。

 2013年2月、スイス政府はFATCAに基ずく金融口座情報の交換についてアメリカ政府と合意し、調印した。主要なタックスヘイブンのひとつであったスイスが、アメリカの金融再規制に対して白旗を挙げた瞬間だった。

 ドイツ銀行は、世界中で年間6000件以上の訴訟を起こされている。2016年6月、IMFは、「世界の巨大銀行の中で、金融システムへの潜在的リスクが最も大きいのはドイツ銀行である」というレポートを発表した。

 2015年8月12日に起きた天津の大爆発は、テロが疑われる。

 天津大爆発の後も、8月22日、23日、24日、26日、31日と各地で化学工場の爆発事件が起きている。

 1986年4月に起きたチェルノブイリ原発事故はソ連邦崩壊の序曲となった。同じように天津大爆発がチャイナ崩壊の始まりになるのではないか。