奥村歩著 脳の老化を99%遅らせる方法
脳には、約1000億個の神経細胞がある。「脳細胞の数は20歳を過ぎると1日10万個のペースで減少する」と言われているが、心配する必要はない。
デフォルトモード・ネットワークが脳のつながりをよくしていた。
何もせずにぼんやりしているときの脳では、意識的な活動や作業をしているときの15倍ものエネルギーが消費されていることがわかった。
デフォルトモード・ネットワークは、過酷な環境を生き残っていく中で人類が獲得したシステムであり、厳しい困難にへこたれることなく、人生をよりよい方向にシフトしていくためのシステムである。
「脳トレ」には脳機能を向上させる効果はあまりない。
脳のつながりをよくする「ニューロビクス」が効果あり。
「ニューロビクス」とは、アメリカの研究者がニューロン(脳神経細胞)とエアロビクスを足してつくった造語。
1.自分の不調を客観的に捉える
2.脳のアイドリング・タイムを意識的につくる
3.あの手この手で脳がイキイキとした状態をつくる
4.いつものやり方を変えて、あえて少し遠回りしてみる
5.脳にいい食事、脳にいい運動、脳にいい睡眠を習慣づける
運動して筋肉を動かすと、脳内で「BDNF(脳由来神経栄養因子)」という物質が分泌される
中田考著 帝国の復興と啓蒙の未来
トルコが文明の再編の鍵を握る。仮にエルドアン政権が政敵によって打倒された場合、イスラーム主義者と世俗主義者の対立が激化し、トルコは内乱に陥り、シリア化することが予想される。内戦状態になった場合、トルコから1000万人規模の「難民」がヨーロッパに押し寄せることになり、ヨーロッパの「ムスリム難民問題」は制御不能になり、新たな秩序構築のためにやはりヨーロッパは新たな根本的な変化を伴う再編を強いられることになる。
「新しいグレートゲーム」の主プレーヤーは中露、そしてトルコである。トルコ共和国が、イスラーム文明の世界国家オスマン朝の継承国家であっただけでなく、チュルク民族が過去1000年にわたり、宗教のアラブ民族、学問のペルシャ民族と並び、武のチュルク民族として、イスラーム、特にセルジューク朝以来スンナ派イスラームを支えた三大民族の一つであった。
イスラーム文明圏には中核国家が存在しない。シーア派には曲がりなりにも中核国家イランが存在するが、イスラーム教徒の絶対多数を占めるスンナ派は、主導権を巡ってサウジアラビア、トルコ、エジプト、パキスタンなどが競合、対立しており、まとまりを欠く。イスラーム世界は、西欧の世界支配の枠組である現行の領域国民国家システム自体を揺るがす可能性を秘めている。
欧米の没落は、アメリカの経済、軍事力の衰えだけによるものではない。「自由民主主義」の欺瞞が、インターネットによる情報のグローバリゼーションの進行の中で、もはや維持し誤魔化し通すことができなくなったことによる。独裁者たち、そして「テロとの戦い」などの名の下にやってきた国連や欧米の侵略者たちの兵器により為す術もなく殺される人々を見殺しするだけでなく、そこから逃げ延びて来る者の移動の自由を奪い、国境という牢獄の檻の扉を閉ざす「欧米」には、もはや自由、人権、民主主義、そして文明の擁護者を名乗る資格はない。
30万人の死者、500万人の難民を出したシリア内戦、「テロ」対策の名の下に万単位の国民を平然と殺すことができるアサド政権は、ブッシュの「テロとの戦争」が生み出した警察国家のディストピアの戯画であり、それは明日の日本の姿かも。
過去において多くの文明と共存し、それを統合し発展してきたイスラーム文明の歴史の中には、西欧文明の病理であるナショナリズムの差別主義、排外主義と全体主義的システム独裁に対する解毒剤、有効な処方箋が見つかるかもしれない。
堀正和・桑江朝比呂編著 ブルーカーボン
地球上で生物が隔離するグリーンカーボンと呼ばれる炭素のうち、海洋生物が隔離する炭素、すなわちブルーカーボンはその55%に相当する。
しかし、二酸化炭素の吸収源となる自然生態系は人類の経済活動によってますます減少している。海洋植生にいたっては、熱帯雨林の5~10倍もの速さで消失し続けている。
沿岸顕花植生域の喪失は、地球環境と人間社会への差し迫った脅威である。沿岸浅海域や海洋の総合的管理を見直し、沿岸顕花植生域の保全・再生を気候変動緩和対策に含めることで、いまだ国際的議定書や市場経済システムに認識されていない、今日われわれが知り得る、最も効果的なWin-Winの気候変動緩和策が生まれることになるだろう。
アンドリュー・キンブレル著 生命に部分はない
市場原理のイデオロギーは、これまでもそして現在も人間部品産業の中心的教義として機能している。機械論思考と科学技術の進歩によって、人間の体は機械のように部品化してとらえられるようになってきた。自由市場原理を標榜する人々や人間部品産業企業家そして政治家たちが、巧みに人間を商品化してきた過程は、血液の商品化に始まり、世界中で行われている臓器売買、公然と横行する精子・卵子の売買、代理母契約、胎児・赤ちゃんの商品化、生体試料の販売合戦、遺伝子・細胞などの特許化など。
科学者や技術者が事実上、技術の利用を公益のためだけに限定しえた例が過去にないことは歴史が示す通りだ。
市場原理を適切な方法で規制しない限り、人体の価値を破壊し、商業的な搾取が展開されるのも間違いない。
・輸血用の献血を引き続き無償で行う体制を堅持。製薬目的、研究目的の商業的血液売買の停止
・移植用臓器の売買禁止
・胎児組織売買の禁止
・代理母契約制度の停止
・遺伝子操作された動物、人間の細胞、遺伝子、胚、臓器など、からだの一部を含む すべての生命形態の特許化禁止