鎌田浩毅著 日本の地下で何が起きているのか 

 現在の地震と噴火の頻発は「3.11」によって地盤に加えられた歪を解消しようとしているのだ。もはや日本列島は1000年ぶりの「大地変動の時代」が始まってしまい、今後の数10年は地震と噴火が止むことはないだろう。

 日本の国土面積は世界の陸地の0.28%しかないのも拘わらず、地球上で起こるM6以上の地震の20%が日本列島で起きている。

 富士山は平均50年程の間隔で噴火していたことが分かってきた。一方、富士山は1707年から現在まで、300年間も噴火していない。もし長期間ため込んだマグマが一気に噴出したら、江戸時代のような大噴火になる可能性も否定できない。

 物理学者の寺田寅彦は、日本列島に暮らす脆弱性を指摘した最初の人物である。

寺田は、「文明が進めば進むほど自然の暴威による災害がその劇烈の度を増す。文明が進むに従って人間が次第に自然を征服しようとする野心を生じ自然の暴威を封じ込めたつもりになっている」と。

奥野修司、徳山大樹著 怖い中国食品、不気味なアメリカ食品

 アメリカから輸入される牛肉には、国産牛よりも600倍もの女性ホルモンが含まれている。しかし、計測すれば輸入禁止にせざるを得ず、そうなればアメリカと必ずトラブルになるから、食品に含まれる女性ホルモンを測ろうともしない。

 日本と対照的なのはEUである。

 EUは、域内の国民の安全を考慮し、今もアメリカ産牛肉の輸入を禁止している。

 アメリカは、EUの農産物に課徴金をかけて報復したが、EUはそれでも禁止措置を解かなかった。

 豚肉はもっと危険だ。アメリカ食品医薬品局は、アメリカで流通している豚肉の69%が抗生物質に耐性を持つ菌に汚染されていると警告している。

 腸内細菌には抗生物質で簡単に死んでしまう細菌と、抗生物質に耐性を持っている細菌があり、抗生物質が体内に入ると、抗生物質に弱い細菌は次々と死んで細菌の種類が激減して腸内細菌叢が変わり、これまで保っていた腸内のバランスが一気に崩れてしまう。バランスが崩れることが、アレルギー疾患、喘息、肥満、自閉症潰瘍性大腸炎など、現代病といわれる病の発症に繫がっている。

 2018年4月に廃止される主要農作物種子法は、種子の遺伝資源を守り、安い価格で提供してきた。それを廃止し、これまで蓄えられてきた種子情報は民間に譲渡される。種子の価格は確実に上昇するだろう。喜ぶのは、種子ビジネスで大儲けしている海外の巨大バイテク企業だけなのではないか。

 中国では生活汚水の9割以上、工業排水の3分の1以上が未処理で河川に流されているという報告があり、とりわけ深刻なのは南部、それも長江と黄河下流だ。

 中国では10年ほど前から「がん村」の存在が噂されてきた。「がん村」というのは、がんの発症率が異常に高く、村民の多くが40代で死亡するという深刻な状態の集落のことだ。現在、中国全土で500ヵ所以上あると言われている。

 学校給食の構造的問題に大きな影響を与えたのが、中曽根内閣時代の85年に出された、新自由主義を背景とする

「合理化通知」である。①給食の民間委託への移行、②非正規調理員の採用、③自校方式からセンター方式へ、

コストダウンを追及した結果、学校給食は外食産業と同列になったともいえる。そして、中国食材が多く入り込んできた。

 もしわが子の給食がおかしいと思ったら、親が糾すしかない。親が声をあげれば学校給食は変えられる。

 FTAやTPPは、消費者にきちんと情報を公開するという流れに逆行するものだ。

 輸入する場合、TPPは輸入検疫を簡素化し、輸入する加盟国の検疫を尊重するのが前提だから、輸入国の検疫はどんどん簡素化され、ほとんど行われなくなる。検査がほとんどされないなら、アメリカで何か問題が起こっても、すでに日本で消費されているということになりかねない。

 

西川芳昭著 種子が消えればあなたも消える 共有か独占か

 2017年2月10日に、「主要農作物種子法を廃止する法律案」の第193回国会への提出が閣議で了承されたというニュースが種子を大切に考えている仲間たちの間を駆け巡った。

 干ばつや砂漠化によって、毎年、穀物栽培で2000万トンに相当する1200万haの農地が失われている。

 また、確認されている8300の動物種のうち、8%は絶滅し、22%が絶滅の危険に晒されている。

 色々な形の種子の供給や調達の方法を支える条件を整えていた重要な法律の一つである種子法をなくすことによって、種子のシステムの多様性が失われる。

 主要農作物の種子システムの弱体化は、全国の小規模農家や条件不利地の農業・農村を衰退させるだけではない。地域の農業生態系という、農の営みがつくり上げてきた環境が破壊されてしまえば、結果的には産業的な農業システムの弱体化につながる。

 2014年は国連が決めた国際家族農業年であった。家族農業の特徴は、伝統的な農法を大切にしながら、比較的小さな土地を多くの労働力を投下して利用する。地域で食料が安定的に生産・共有されると、地域が安定し、紛争の芽を摘む。

 こうしたことを念頭に、FAOは各国が家族型農業指針の政策を採るように促している。

 食のシステムについて発信し続けている英国のジェフ・タンジー氏は、知的財産権を重視する法的枠組みは民間企業の産業的農業への参入の動機づけとなり、短期的には経済発展が可能であるが、種子のシステムのような本来公的なものの私有化は生態的には

持続不可能な社会を生み出すと警告している。

 

矢部宏治著 知ってはいけない 隠された日本支配の構造

 日米地位協定の考え方補足版 1983年12月(外務省が作成した高級官僚向けの極秘マニュアル)には、次のような記載がある。

〇 アメリカは日本国内のどんな場所でも基地にしたいと要求することができる。

〇 日本は合理的な理由なしにその要求を拒否することができず、現実に提供が困難な場合以外、アメリカの要求に同意しないケースは想定されていない。

 だから北方領土の交渉をするときも、返還された島に米軍基地を置かないというような約束をしてはならない。

 従って、現在の日米間の軍事的関係が根本的に変化しない限り、ロシアとの領土問題が解決する可能性は、じつはゼロ。

 2016年11月、モスクワを訪れた元外務次官の谷内正太郎国家安全保障局長が「返還された島に米軍基地を置かないという約束はできない」と伝えたことで、領土返還交渉がゼロ回答に終わることは確定していた。

 本土から那覇空港に着陸する民間航空機の航路が、嘉手納や普天間の米軍基地に離着陸する米軍機の航路と交差しているため、30キロ以上手前から、高度300メートル以下で飛ぶことを義務付けられている。

 外国軍の軍用機が安全な角度で離着陸できるよう、自国の旅客機は非常に危険な低空飛行を強いられている。

 航空法特例法 第3項 「前項の航空機(=米軍機と国連軍機)については、航空法第6章の規定は適用しない」

 適用しないとされている「航空法第6章」とは、航空機の安全な運行について定めた法律。

 要するに、米軍機は日本の上空において、どれだけ危険な飛行をしてもいい、それは合法だとなっている。

 2016年12月沖縄の北部訓練場の半分以上にあたる4000ヘクタールが日本に返還された。

 しかし、新しく6つのヘリパッドが高江集落を取り囲むようにして、つくられる計画になっている。

 さらに2020年からは、より一層危険とされる空軍仕様のオスプレイも、横田基地に10機配備されることになっている。

 日米合同委員会の公式議事録 1953年9月29日には、「日本国の当局は、所在地のいかんを問わず米軍の財産について、捜査、差し押さえ、または検証を行う権利を行使しない」

 1959年の「砂川裁判・最高裁判決」は、マッカーサー駐日大使が、外務大臣に対してそこに直接上告しろと指示した、当の最高裁の長官(田中耕太郎)にみずから接触した結果のもの。

 駐日大使の政治工作と、その過程で起きた情報漏洩の問題に、きちんと向き合い、検証・清算できない日本の最高裁は、まだ誕生してから一度も正常に機能したことがないとさえ、言える。

 1951年9月8日、「吉田・アチソン交換公文」という名の条約が結ばれた。 

 日本は当時、朝鮮戦争に関して行っていた、様々な米軍への軍事援助を、「独立後も変わらず継続します」という内容。

 その後1952年7月23日と、1954年2月8日の二度、当時の吉田茂首相が米軍の司令官と、口頭で「指揮権密約(戦争になったら、自衛隊は米軍の指揮のもとで戦う)」を結んだ。

 現在の日米関係は、朝鮮戦争の混乱のなかでできた、明らかに違法な条約や協定に基づくものだ。こうした極端な不平等条約は改正させて欲しいと交渉すべきである。

 

 

 

ポール・ノフラー著 デザイナー・ベビー

 CRISPR-Cas9と呼ばれる遺伝子組換え(ゲノム編集)技術の発明により、私たちはすでにデザイナー・ベビーをつくり出せる寸前の段階にまできている。

 一部の科学者、倫理学者、そして法学者は、デザイナー・ベビーをつくることを支持している。

 EU,オーストリア、中国、カナダを含む多くの国はヒトのクローニングを禁止した。一方、アメリカの殆どの州や周辺の多くの国々では、依然クローニングは適法のままである。

 フィクションの世界がとうとう実現されようとする一方、ヒトに対して遺伝子組換え技術を用いることについての、安全性や妥当性、倫理面の課題などは、これまで殆ど議論されてこなかった。

レベッカ・コスタ 著 文明はなぜ崩壊するのか

 認知閾とは、状況の複雑さが増していくスピードに、人間の脳が進化するスピードが追い付かない状態をいう。

 スーパーミームとは、社会制度や習慣、価値観、合理的思考を押し流す力がある。今の社会で進歩を妨げているのは、五つのスーパーミームだ。不合理な反対、非難の個人化、偽の相互関係、サイロ思考、行き過ぎた経済偏重。

 2006年、ムハマド・ユヌスマイクロクレジットを創設し、普及させた業績が評価されて、ノーベル平和賞を受賞した。

 マイクロクレジットはいまや重要な貧困解消策である。現在世界には7000を超えるマイクロクレジット機関があり、利用者は1600万人に達する。(2012年現在)

 ユヌスのひらめきは現代に巣くう五つのスーパーミームを乗り越え、20世紀最大の経済革命を引き起こした。

 1983年、ユヌスはグラミン銀行を設立したが、その際専門家や政府系銀行、民間業者はこぞって反対した。

 しかし、なんと返済率は98%だ。