渡邊哲也著 「米中関係」が決める5年後の日本経済

国際社会に悪影響をもたらす中国の租借権問題    国際間での融資については厳格な審査が行われる。その審査をクリアした後に政治・経済状況の急変によってデフォルトに陥った場合は、パリクラブ(債務国会合)と呼ばれる、パリで行われる国家間の債務滞納などに関する協議会で、その償還の延期や債務の減免などを認めるという制度がある。パリクラブは第二次世界大戦後、先進諸国が新興国への支援のあり方を検討し、先進国による一方的な搾取とならないよう、均衡のとれた発展を目的に築きあげたシステムといえる。ところが、このシステムを無視して、中国は民間の金銭貸借と同様の理屈を持ち込み、債務国の土地の権利を奪い取っている。    モリディブは、2019年にも中国への領土割譲に追い込まれるかも。

高橋洋一著 「官僚とマスコミ」は嘘ばかり

「明日の社説に書け!」財務省では、上司からそんな命令が飛ぶ。実は財務官僚は、様々な手を講じて、思いのままに新聞の社説を書いてもらえるほどの「ズブズブの人間関係」をつくりあげている。

 日本の財務状況は先進国最悪どころか、アメリカよりもいい。

 2016年3月に安倍総理と会合を持ったスティングリッツ教授が示した資料には、「国のバランスシートにおいては、負債のみではなく、資産・負債両面を見ることが適切な会計フレームワーク」と明記されている。

 財務省は、海外へは財務諸表を見せて「日本は大丈夫です」といいながら、国民に対しては財務諸表を伏せて「財政が危ない」と二枚舌。

上垣外憲一著 鎖国前夜ラプソディ 惺窩と家康の「日本の大航海時代」

 徳川の平和を実現した政治体制を作り出した家康、その平和の精神に広やかさと寛容さを与えた惺窩、二人相まって、日本の近世を飛び越して、近代が準備されたのである(徳川封建体制、鎖国体制は、徳川家光林羅山の所産である)。科学技術と、人間中心主義、国際主義、家康と惺窩の桃山時代は、日本がある意味で世界文明の最先端に浮上した、鎖国前の輝ける時代だった。

 家康の統治時代こそ、日本の海外貿易が最も栄えた時代であった。

 大御所と言われた駿府時代にはフィリピン貿易を積極的に行った。

 藤原惺窩晩年の極めて近代的な思想は、オーソドックスな朱子学とは大きく異なるものである。むしろ西洋18世紀の啓蒙思想、寛容の思想に極めて近い。朱子学の政治、外交思想の基本である中華と夷荻の差別、つまり華夷秩序を認めず、日本、中国、朝鮮、ベトナムは対等の国家であるとする。近代的な外交の基本は、大国、小国の区別なく、国々は国際法上、平等であり、対等の国家主権を有する。この近代国際関係の建前に惺窩の外交思想は一致する。

加納剛太編著 ディープ・イノベーション -起業工学が開く人類の新たな地平ー

 シュンペーターは「イノベーション」を1911年に次のように定義した。

顧客満足度の飛躍的向上

・その活動を通して社会の変革を起こす

 ところが、日本では1985年の『経済白書』で「イノベーション」を「技術革新」と誤訳した。

 正しくは、「市場のニーズを汲み取り、それに最適解を与え、顧客を満足させ、市場占有率を上げる。そしてそれが社会を変える」ということ。

 石油はあと40年で枯渇すると予測されているが、銅はあと30年、銀は15年、インジウムに至ってはあと6年分しか埋蔵量がない。

 その一方で、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出削減は進んでいない。2008年に全世界で295億トンであった二酸化炭素の排出量は、このままいくと2050年には500億トンになってしまう。

 産業の徹底的なパラダイムシフトが必要だ。低エネルギーで完全なリサイクルシステムを備えた産業を生み出す必要がある。

 「成長」よりも「永続」を求め、いたずらに規模を大きくしない経営。経済原則だけでなく、「徳」という哲学の要素を柱に据えた経営。ここで必要になるのが「ディープ・イノベーション

 

 

 

 

 

福場ひとみ著 国家のシロアリ

 かって、復興予算が霞ケ関の庁舎や沖縄の道路に流用された国家的犯罪があった。

 あれからどれだけ変わったでしょうか。国家のシロアリを生む最大の要因は、国民の無関心かもしれない。

「実は財務省の主計官から、”欲しい予算があったら、復興予算で出したら付けてやるから、復興に関連があるように書いて要求しろ”と言われたので、本当はこんなの復興予算で要求するなんてまずいと思っていたけど、要求したんです」

 カレン・ヴァン・ウオルフレン氏は、この国の権力構造についてこう指摘している。

権力システムの代表は官僚である。日本の官僚グループは、限られた範囲内で思い思いに行動する。省庁や業界といった各管轄の中で、官僚主導の「小国家」が形成される。日本の官僚制度に関して一番恐ろしいと思うのは、それを誰も支配していないということだ。官僚を如何にコントロールするかは、現在世界に共通する課題だが、米国では大統領の任期である4年ごとに顔ぶれが変わる。欧米では官僚の権限は法律で制限されているが、日本ではそもそも法律を考えるのが官僚であり、彼らの暴走を止める手立ては何もない。官僚は、メディアを通じて虚偽の説明をする。しかも日本の新聞の大半は、国民に政治の、そして究極の現実を伝えることが自らの使命だと考えていない。そうして「偽りの現実」が流布する。

手嶋龍一 佐藤優 対談 独裁の宴 世界の歪みを読み解く

 2017年8月29日北朝鮮弾道ミサイルを発射を受けて小野寺防衛大臣の「ミサイルが日本の領空を2分間飛翔した」という発言は、問題。領空とはおよそ高度100キロメートルくらい、ミサイルは550キロメートル。国際法という武器を身に着けていない外交官がいまや外務省の中堅幹部になっているというのは、恐ろしいこと。

 9月21日コロンビア大学河野太郎外相が講演して「北朝鮮と国交のある160以上の国々は、断交すべきだ」と発言した。他国に対して「どの国と外交関係を持て、持つな」などと指図することが許されないのは、国際法のイロハの話だ。

 イギリスは平壌に大使館を持っている。アメリカと貴重なインテリジェンスを共有する所謂「5-Eyes」のなかで、その中核を占めるイギリスが北朝鮮国内に触角を持っている大切さをイギリスの専門家は痛いほど分かっている。

 5-Eyesというのは、「UKUSA協定」というインテリジェンスに関する取り決めを結んでいるイギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5か国。

 2017年9月1日に創価学会原田稔会長が「創価学会会憲」を提案して、11月18日に施行された。

 平和の教団、世界教団なんだと。国際組織であるSGI創価学会インターナショナル)も「日蓮世界宗創価学会」とする。

 世界宗教化を目指す創価学会。台湾と韓国にSGIは拠点を持っていて、布教のメインターゲットは中国。

 

奥山俊宏著 パラダイス文書 連鎖する内部告発、パナマ文書を経て「調査報道」がいま暴く

 弁護士と会計士の支援を得て法務と税務の最新知識を使い、タックスヘイブンや租税特別措置に抜け道を探して巧妙かつ適法に租税を回避するのは、経済主体としては当然の行動かもしれない。しかし、そのような行動が可能なのは大企業や超富裕層のみで、そのしわ寄せは中流階級に向かう。

 2016年4月の「パナマ文書」の報道が始まった2日後、米政府のオバマ大統領(当時)が喝破した。

 「パナマ文書」報道は、第一に、「過去最大の内部告発」発端の報道。

第二に、「史上最大の調査報道」

第三に、非営利組織、ネットメディアによる報道の中で「最良の成功例」

 「パナマ文書」には、日本人らしき名前は300ほどだが、2017年11月報道された「パラダイス文書」には1000を超えるが、その本当の数字は数千なのか、1万を超えるかいまだ不明だ。

 内部告発は調査報道の原動力であり、調査報道で盛り上がった世論が新たな内部告発を喚起し、それがまた新たな調査報道へとつながっていく。情報技術の進歩もあって、年々、内部告発の質は向上し、その量もメガバイト単位からギガバイト単位、テラバイト単位へと増大してきている。それに呼応するように、調査報道はかっての「個人プレー」「職人気質」のスタイルを脱して、チームを母体とするようになり、それがさらに国際化し、その規模を大きくしている。非営利の報道機関が台頭し、より公的な立場から、調査報道記者たちや各報道機関に協働を促し、取材・報プロジェクトの規模拡大を後押ししている。