レベッカ・コスタ 著 文明はなぜ崩壊するのか

 認知閾とは、状況の複雑さが増していくスピードに、人間の脳が進化するスピードが追い付かない状態をいう。

 スーパーミームとは、社会制度や習慣、価値観、合理的思考を押し流す力がある。今の社会で進歩を妨げているのは、五つのスーパーミームだ。不合理な反対、非難の個人化、偽の相互関係、サイロ思考、行き過ぎた経済偏重。

 2006年、ムハマド・ユヌスマイクロクレジットを創設し、普及させた業績が評価されて、ノーベル平和賞を受賞した。

 マイクロクレジットはいまや重要な貧困解消策である。現在世界には7000を超えるマイクロクレジット機関があり、利用者は1600万人に達する。(2012年現在)

 ユヌスのひらめきは現代に巣くう五つのスーパーミームを乗り越え、20世紀最大の経済革命を引き起こした。

 1983年、ユヌスはグラミン銀行を設立したが、その際専門家や政府系銀行、民間業者はこぞって反対した。

 しかし、なんと返済率は98%だ。