福場ひとみ著 国家のシロアリ

 かって、復興予算が霞ケ関の庁舎や沖縄の道路に流用された国家的犯罪があった。

 あれからどれだけ変わったでしょうか。国家のシロアリを生む最大の要因は、国民の無関心かもしれない。

「実は財務省の主計官から、”欲しい予算があったら、復興予算で出したら付けてやるから、復興に関連があるように書いて要求しろ”と言われたので、本当はこんなの復興予算で要求するなんてまずいと思っていたけど、要求したんです」

 カレン・ヴァン・ウオルフレン氏は、この国の権力構造についてこう指摘している。

権力システムの代表は官僚である。日本の官僚グループは、限られた範囲内で思い思いに行動する。省庁や業界といった各管轄の中で、官僚主導の「小国家」が形成される。日本の官僚制度に関して一番恐ろしいと思うのは、それを誰も支配していないということだ。官僚を如何にコントロールするかは、現在世界に共通する課題だが、米国では大統領の任期である4年ごとに顔ぶれが変わる。欧米では官僚の権限は法律で制限されているが、日本ではそもそも法律を考えるのが官僚であり、彼らの暴走を止める手立ては何もない。官僚は、メディアを通じて虚偽の説明をする。しかも日本の新聞の大半は、国民に政治の、そして究極の現実を伝えることが自らの使命だと考えていない。そうして「偽りの現実」が流布する。