中野剛志、柴山佳太共著 グローバリズム その先の悲劇に備えよ

  グローバリズム新自由主義を信奉する人たちからすると、各国の主権に基づいて、勝手な政策や制度をつくられたら困るし、民衆の要求を受け入れて自由貿易を否定されても困る。また、民主主義的主義理屈に基づいて福祉国家をやられて、そのせいで、自由市場のあり方が変わってしまうと困る。

 彼らは、この20年間、日本を衰退へと追いやってきた。ところが、そのグローバリストや新自由主義者が、政治家であれ官僚であれ知識人であれ、責任を取るどころか、依然として日本という国家の中枢に居座っている。

 GATT体制の時代は、東西冷戦の時代だった。西側世界が貧しくなって共産主義に走ると困るから、アメリカは西側各国を豊かにするために、実に寛容な通商政策をとった。GATT体制下のマイルドな自由貿易のおかげで、日本は経済成長した。

 アメリカの地政学的な理由から冷戦が始まって、アメリカの地政学的な理由からアメリカが日本の軍備を背負って、日本に共産革命を起こさせないためにアメリカが経済的に豊かになることを認めた。

 冷戦が終わって、アメリカが日本を繁栄させておく必要がなくなった冷戦終結後という時期と、日本の経済の失われた20年が一致している。