吉田敏浩著 横田空域 日米合同委員会でつくられた空の壁
「横田空域」には、実は国内法上の法的根拠は何もない。日本における米軍の権利など法的地位を定めた日米地位協定にも、何ら明文の規定もない。ただ日米合同委員会という、地位協定の運用に関する在日米軍高官と日本の高級官僚による密室の協議機関の合意に基づくだけなのである。
「日本国憲法の上に日米地位協定があり、国会の上に日米合同委員会がある」
2018年7月に全国知事会が初めて、地位協定の抜本的見直しを求める提言を発表して、日本政府に要請した。
同様の意見書が全国各地の自治体でも決議されている。
「横田空域」など全国の空を米軍が軍事訓練のためにフル活用し、各地の住民に騒音被害や墜落事故などの危険を齎し、主権と人権を侵害している状態を解消できるか。
大山礼子著 政治を再建する、いくつかの方法 政治制度から考える
1994年に政党助成法が成立した際には、将来的に企業や団体からの政治献金を禁止することが約束されていた。同時に改正された政治資金規正法は、企業・団体が政党及び政治資金団体に対してする寄付のあり方について、5年後に見直しを行うと規定している。しかし、現在まで、この約束は果たされていない。「ザル法」のまま。
2008年に日米中韓4か国の中学生、高校生を対象として行われた日本青少年研究所の調査によると、日本の中高生は「私個人の力では政府の決定に影響を与えられない」と答えた割合が最も高かった。ほかの3か国で否定的な回答と肯定的な回答がほぼ拮抗しているのに対して、日本の高校生では「全くそう思う」及び「まあそう思う」という回答が8割を超える。
学校で、近現代史の教育を通じ投票参加等公共生活への参加能力を養うことが必要だ。
中西輝政著 日本人として知っておきたい「世界激変」の行方
アメリカがEUをつくろうと考えた、そもそもの動機は冷戦を戦うためである。これはASEANも日米安保、NATOも同じである。本質は「パックス・アメリカーナの副産物」といって差し支えない。
西ドイツをNATOに迎え入れるための布石として打たれた手が、欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)だった。又、アメリカはフランスと西ドイツ国内に、親米派を積極的に養成した。そのためにCIAが膨大な工作資金を費やしたことが公開された資料からわかっている。
「中露独の三国同盟」に日米同盟は対抗できるか
独露両国はすでに、天然ガスをはじめ、様々なエネルギー分野で運命共同体である。ドイツはエネルギーのおよそ4割を、ロシアからパイプラインで届けられる天然ガスに頼っているし、自動車や機械など工業製品の対露輸出に頼ってきたドイツにとってロシアは「上得意先」である。
フォルクスワーゲンは中国市場で圧倒的覇権を握り、またドイツの先端技術がAIやロボット技術を中心に、中国に入りだしている。そして中国はドイツから環境技術を導入するプロジェクトを動かし、国有企業を何社も立ち上げている。ベルリンにはエリート技術者の中国駐在員が増えている。
明治の日本に最大の外交危機を齎した、「三国干渉」(1895年)は、ドイツが中露双方を操って対日恫喝の行動にでたものだ。
国際関係の神髄というものは、19世紀も21世紀も核心においては変わりはない。
中野剛志、柴山佳太共著 グローバリズム その先の悲劇に備えよ
グローバリズムや新自由主義を信奉する人たちからすると、各国の主権に基づいて、勝手な政策や制度をつくられたら困るし、民衆の要求を受け入れて自由貿易を否定されても困る。また、民主主義的主義理屈に基づいて福祉国家をやられて、そのせいで、自由市場のあり方が変わってしまうと困る。
彼らは、この20年間、日本を衰退へと追いやってきた。ところが、そのグローバリストや新自由主義者が、政治家であれ官僚であれ知識人であれ、責任を取るどころか、依然として日本という国家の中枢に居座っている。
GATT体制の時代は、東西冷戦の時代だった。西側世界が貧しくなって共産主義に走ると困るから、アメリカは西側各国を豊かにするために、実に寛容な通商政策をとった。GATT体制下のマイルドな自由貿易のおかげで、日本は経済成長した。
アメリカの地政学的な理由から冷戦が始まって、アメリカの地政学的な理由からアメリカが日本の軍備を背負って、日本に共産革命を起こさせないためにアメリカが経済的に豊かになることを認めた。
冷戦が終わって、アメリカが日本を繁栄させておく必要がなくなった冷戦終結後という時期と、日本の経済の失われた20年が一致している。
藤井厳喜著 太平洋戦争の大嘘
ルーズベルト元大統領の三つの大罪
①日米戦争は、時のアメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトが日本に向けて仕掛けたものであり、日本の侵略が原因ではなかった
②1941年の日米交渉では、ルーズベルトは日本側の妥協を受け入れる意図は初めから全くなかった
③アメリカは1945年に原爆を投下せずに日本を降伏させることができた
ルーズベルトの前の大統領、第31代のアメリカ大統領を務めたハーバート・フーヴァーは、「フリーダム・ビトレイド(Freedom Betrayed)」を著した。
「本当の事が書いてあるから」「知られてしまうとまずいことが書いてあるから」出版されたのは2011年(邦訳は2017年)だった。
1941年7月にアメリカは日本に経済制裁をするが「日本に対する宣戦布告なき戦争であった」と書いている。
フーヴァーは1946年5月来日しマッカーサーと会談している。その際フーヴァーは「経済制裁は殺戮と破壊以外のすべての戦争行為を実現するものであり、いかなる国といえども、品格を重んじる国であれば、我慢できることではなかった」と述べたがマッカーサーも同意した。