河村小百合著 中央銀行は持ちこたえられるか 忍び寄る「経済敗戦」の足音
クルーグマン・ニューヨーク市立大教授は、1998年に日本の不振と「流動性のわな」に関する論文を執筆し、「中央銀行による”期待への働きかけ”によって、デフレから脱却できる」という主旨は、日銀がQQEに踏み切るのに際して、リフレ派の拠りどころとなった。ところがそのクルーグマン教授は、2015年10月自らのブログで「日本のデフレはかっての自説のような需給ギャップによるものではなく、人口動態によるものであることがわかった」「期待に働きかける金融政策運営は、人口動態を主因とするデフレには無力であった」と考えを変えたことを明らかにした。
海外の主要中央銀行は以前から、自らの金融政策運営上の考え方やその実践等について解説した書籍を発行している。
Fed,ECBはWEBにアップされている。これに対して日銀の説明姿勢は問題だらけ。
今後新たに、毎年数兆円単位の中央銀行への財政補填が発生しかねない。
里見清一著 医学の勝利が国家を滅ぼす
画期的な新薬が開発され、寿命が延びる。素晴らしき哉、医学の勝利! のはずだった。だがその先に待ち構えているものに我々は慄然とする。爆発的に膨張する医療費は財政の破綻を招き、次世代を巻き添えに国家を滅ぼすこと必至なのだ。
オプジーボを1年間使うと3500万円、また、いつやめていいかもわからない。
陽子線治療は、理屈の上では通常の放射線治療より「良いに決まっている」はずが、実際の治療データーをみると、効果においても副作用においても大して変わらない。
CT検査は、放射線被曝を伴うから、特に若い患者に「念のため」CTを撮るようなことは厳に慎むべき。
検診年齢の上限は70歳が基本。
高齢者に対して、寿命を延ばすような医療行為は禁止。
島崎治道著 「地産地消」の生き方
「食の国際化」とは、世界の人々への「食」の提供を一握りの企業、限られた国で独占的に支配しようとする、究極の政治的・経済的戦略だ。
日本の農業に暗雲が立ち込め始める要因となったのは、1954年に締結した「MSA協定」であり、これにより国策として我が国の小麦や大豆の生産を制限し、アメリカの余剰農産物の大量輸入が開始された。また、我が国の主食であるコメの消費量を減らすために、「学校給食法」を制定して、給食の主食をごはんからパンに変えた。
現在、地球の温暖化などによる地球環境の悪化が、食料輸出国の生産量を減少させ、世界的人口増を背景に、輸出先国の人口を満たすだけの価格にあった輸出量を提供できなくなっている。
日本が食料の輸入を拡大することは、世界にテロや戦争を輸出することになる。
「地産地消」の生き方が世界の各地域で実践された時が、飢えのない真の平和な国際社会が構築される時だ。
文藝春秋オピニオン2017年の論点100
日覺昭廣著 日本型経営で金融資本主義に立ち向かえ
全世界のGDPが75兆ドルに対して、金融資産は300兆ドルを超えており、実体経済とかけ離れた状況になっている。ヘッジファンドと呼ばれる「投機家」の経済規模は200兆円にのぼる。彼らの中には、金融工学基づいて100万分の1秒単位で株を売買して利益を得ようとする者も少なくない。そうした投機家を会社の所有者とみなすことが、そもそもおかしい。
金融資本主義かの弊害を防ぐにはどうしたらよいか。
1.マネーゲームに対する規制を視野に入れて、国際的な枠組みを検討する。
2.「新しい企業価値」の基準を作り出す。
新たな価値観で企業価値を定義する動きがアメリカですでに起こっている。
「B企業」という企業認証制度。アメリカの30州とワシントンDCで法制化され、約2000社が認証されている。
フィリップ・E・テトロック&ダン・ガードナー著 超予測力
「我々はイラクは国連の決議と制限に背き、大量破壊兵器計画を継続してきたと判断する。イラク政府は生物化学兵器のみならず、国連の制限を超える射程のミサイルも保有している。この状態を放置すれば、十年以内におそらく核兵器を保有することになるだろう」
2002年10月に公開された「国家情報評価書」は、CIA,NSA,DIAのほか13の情報機関の合意した見解である。これらの機関を総称して「インテリジェンス・コミュニティ(IC)」と呼ばれる。
ICの判断は誤りであった。なぜか。
ピッグス湾事件がケネディ政権最大の汚点だとすれば、キューバミサイル危機はその最大の成果といえる。ケネディはピッグス湾事件のあと自分たちがこれほどひどい失態を演じた原因の究明を命じた。その結果、居心地のよい全会一致主義が根本原因であると指摘され、再発防止のため意思決定プロセスの変革が推奨された。
超予測者を目指すための10の心得が紹介されている。