一橋文哉著 国家の闇   日本人と犯罪<蠢動する巨悪>

 全国の警察に届けられる原因不明の死体=変死体は年間15万人前後に上る。そのうち犯罪か否かを確かめるために解剖されるのは1割以下でしかない。

 終戦直後の下山事件から2006年のライブドア元関連会社役員、野口英昭の怪死まで、本書で取り上げられている事件の捜査は、中途半端に終わっているものが多い。

 利権に群がる政治家・闇の人間に対して、警察庁のキャリア主導、組織偏重、縄張り意識など、日本の捜査の構造的欠陥と言えるかも。