ジャック・ペレッティ著 世界を変えた14の密約

1945年、ニューヨークのメトロポリタン生命保険会社の本社で働いていたルイ・ダブリンは顧客の保険料の支払額を見ていて体重が大きく影響していることに気付いた。そこで、契約者の体重の基準を切り下げて、それまで「太り過ぎ」に分類されていた人たちを、健康に害を及ぼす「肥満」に分類することにした。それを裏付ける科学的な指標としてBMIを作り出した。

 1980年のバイ・ドール法は、製薬会社から大学研究室への直接の資金提供に門戸を開く法案だった。ハーバード大学のジョン・エイブラムソンは、「50年後にアメリカ市民はこの時を振り返り、政府が製薬会社に国民を売り渡した瞬間として思いだすだろう」と語った。

 1958年にニューヨークで世界銀行によって「国家と投資家の間の紛争解決手続(ISDS)と呼ばれる法廷が設立された。巨大農業コングロマリットカーギル/ADMは、児童の肥満を減らすためにソフトドリンクへの砂糖税を導入したメキシコを訴えて勝った。